(創作)あの夏の思い出
この話はおよそ10年前、私がまだ中学生だった頃の話です。
その頃の私は思春期真っ盛りでした。
エロいことに興味津々でしたが、思春期特有の自分がエロいことに興味を持ってる事実を知られたくないという思いからクラスのエロ男子グループに入ることも出来ず、かといって女の子と仲良くすることも出来ずくすぶってました。
そんな悶々とした日々を過ごす中、ある日友達のヒロくんから「裏山にリビドーをかきたてる本(※1)落ちてるらしいで。一緒に見に行かん?」と誘われました。
ヒロくんはクラスのエロ男子グループの筆頭みたいな立ち位置で、本来なら自分とは相容れない存在でしたが家が近所で幼なじみという事もあり、よく遊びに誘ってくれてました。
私はそのヒロくんの誘いに対して脳みそをフル回転させました。
(この誘いは千載一遇のチャンス、行かない手はない…しかしここは教室の中、放課後と言えどもそこそこの人数が残ってるし、ヒロくんは声がデカいからすぐ近くにいた女子にも会話は聞かれてるはず…いやしかし…まあ自分は興味ないですよみたいなテンションで着いていけばまあイケるか?いや落ち着け、クラス中に俺が一種の神器(※2)を拾いに行った噂が広まったら俺の立ち位置は…)
様々な思考を巡らせ出した私の結論は……
「いや、なんで行かなアカンねんw」
でした。
性欲と見栄を闘わせた結果、見栄が勝ったのです。
しかし、私はその発言を一瞬で後悔することとなります。
なぜならヒロくんは私の返答に対して「そうか、ティファのビニ本(※3)やってんけどな…まあええわ、じゃあ俺一人で行ってくるわ!」と答えたからです。
ご存知ティファとはFF7に出てくるキャラクターで、健全な男子の性欲をリミットブレイクさせる格闘家です。
かく言う私もティファは大好きで、将来的に結婚指輪を買うことになったら絶対にティファニーにしようと思っているほどです。
うわあああああああ!!ティファの保健体育参考書(※4)絶対に欲しい!!
私はそう思いましたが時すでに遅し、ヒロくんは自分以外の、自家発電用化石燃料(※5)を狙ってる輩に取られまいとそそくさと教室を後にしていました。
しょうがない、今回は諦めるしかない
そう思い、私は1度帰宅し、力なくベッドに倒れ込みました。
しかしその瞬間、自責の念と後悔、脳内に溢れかえるそんな感情を振り払うかのようにある一つの解決法が頭に浮かびました。
「そうだ、尾行しよう」
ヒロくんは確か妹と共同で部屋を使ってる。流石に性欲大魔神究極体の彼と言えどもそんな状況で家にポルノグラフィ(※6)は持ち帰らないはず。
つまりヒロくんが愛の神(※7)を見たあとに自分がそれを回収すれば王になることすら…可能……!
一筋の光明が指しました。
そうと決まれば早く行動しなければ!
そう思い、私はサングラスとマスクを着用して裏山へと向かいました。
案外早くヒロくんは見つかりました。
彼は裏山の入口付近で高校生に絡まれていました。
物影に隠れて話を聞いていると、どうやらヒロくんが高校生の足を踏んだようです。
謝れば直ぐに済む話なのに大いなる遺産(※8)を早く見たいという焦りからかヒロくんは高校生に雑な対応をしてしまいました。
その刹那、高校生の拳がヒロくんの顔面に飛んでいきました。ヒロくん殴る蹴るの暴行を行う高校生、通行人は見て見ぬふりでした。
私は考えるよりも先に体が動きました。
「やめろー!!」
全力で高校生に向かっていきました。
しかし、私は貧弱だったので2人まとめて高校生にボコボコにされてしまいました。
私たち2人をひとしきり殴って満足した高校生はどこかへと帰っていきました。
ボロボロの体で倒れ込む2人、ヒロくんは私に向かって喋りかけました
「なあ、さっきも誘ってんけどさ、裏山にひとつなぎの大秘宝(※9)見に行かへん?」
私は一呼吸置いて答えました
「へへっ、しょうがねえな、ついて行ってやるよ」
空はどこまでも青く、澄み切っていました
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